エムスリー株式会社New Graduate
Recruit

OSSコミッターから医療ドメインのエキスパートへ。質は量から生まれる

Suenaga2021年新卒

Profile

学生時代よりOSS活動などで活躍、2019年にはAlibaba Cloud Global MVPに選出。明治大学大学院 先端数理科学研究科ネットワークデザイン専攻を修了し、2021年にエムスリーに新卒入社。ドメイン知識に造詣が深く、電子カルテ開発チームの開発をリードしている。

エムスリーには、新卒で入社したエンジニアでも早い段階から大きな仕事を任される文化があります。実装だけを担当するのではなく、ユーザーや事業の課題に向き合いながら、何を作るべきか、どう進めるべきかを自ら考え、提案し、プロダクトを前に進めていくことが求められます。責任も伴いますが、その分得られる経験の幅は広く、多くのエンジニアが想像以上のスピードで成長していきます。

2021年に新卒で入社した末永は、現在、新規プロダクトの立ち上げに携わっています。学生時代はOSSコミッターとして活動し、休学してアメリカでの就職活動にも挑戦してきました。入社後は医療制度という専門領域に活躍の場を見出し、社内でも数少ないドメイン知識を担う存在として複数のプロダクト開発を支えています。

なぜ技術だけでなくドメイン知識を武器にする道を選んだのか。そして、AI時代にエンジニアに求められる力をどう捉えているのか。その歩みと、エムスリーで得られた成長について話を聞きました。

OSSコミッターからアメリカ挑戦へ。「失敗したら謝ればいい」で飛び込んだ学生時代

学生時代はどのようなことをされていたのですか?

18歳まで福岡にいて、大学進学とともに東京に出てきました。19歳の頃にWeb制作会社からインターンの声をかけていただき、そこからずっとWeb系の開発をしています。

一番印象深かったのは、OSSのノートアプリのコミッターとして活動していたことです。もともと自分自身が大量にメモを書くタイプで、ユーザーとして使っているうちにコミットするようになりました。

世界中で使われているプロダクトだったので、海外のエンジニアとIssueやPull Requestを通じてやり取りしたり、コミュニティ活動に参加したりする機会もありました。自分が関わり始めた頃はGitHubのスター数が600程度だったのですが、1年ほどで5000近くまで伸びて、GitHubのトレンドに掲載されることもありました。

また、大学3年生の頃には突然アメリカで働いてみたいと思い立ち、大学を休学して観光ビザで3か月間現地の就職活動にも挑戦しました。アメリカでの挑戦を通じて、自分に足りないものも見えてきました。帰国後はコンピューターサイエンスや英語などを改めて学び直すために、8か月ほど実家にこもって勉強していました。

アメリカから帰国された後は、どのような学生生活を送っていたんですか?

大学院では研究と並行して、複数社で業務委託の仕事もしていました。2〜3社ほどの案件を掛け持ちしていた時期もあり、朝5時に寝て8時に起きるような生活を半年近く続けていたこともあります。

また、中国語の勉強にも力を入れていて、中国系のITコミュニティで発表する機会もありました。賞をいただいたこともあって、興味を持ったことにはとりあえず飛び込んでみる、という生活を続けていました。

こうした行動力の原点はどこにあると思いますか?

うまく説明できないんですが、割と「失敗したら謝ればいいや」くらいの気持ちで、知らない人にも話しかけるタイプなんです。間違ったコミュニケーションをしても謝ればいいし、最悪なんとかなるだろうという、少し楽観的な考え方が昔からありました。

OSSへの参加も、アメリカでの就職活動も、中国語の勉強も、まずはやってみようと思って飛び込んできた結果なんだと思います。

直感的に「ここだ」と思えた。エムスリーを一本に絞った就職活動

もともとWeb業界でインターンをしていたので、学生の頃からさまざまな会社を見る機会がありました。

その中で、自分は地に足をつけて事業を伸ばしている会社に魅力を感じていました。積極的に表に出たり、過度に大きくPRしたりする会社よりも、堅実に価値を積み上げながら成長している会社の方が自分には合っていると思っていたんです。

また、ゲームのような娯楽系のサービス開発経験もあったのですが、就職するのであれば医療のように社会や人の生活に深く関わるシステムを作ってみたいという想いもありました。就職活動を通じて、自分は華やかさよりも事業やプロダクトそのものに向き合っている会社に惹かれるタイプなんだと感じていました。

その中で、エムスリーにはどんな印象を持っていたんですか?

エムスリーは、自分に合いそうな会社だという感覚をずっと持っていました。

就活以前からエンジニアの方と交流があったのですが、その方から会社に対するネガティブな話をほとんど聞かなかったんです。長く働いている人が自然体で会社の話をしているのを見て、良い会社なんだろうなという印象を持っていました。

事業領域も自分の興味と重なっていましたし、平均年齢が比較的高く、中途入社の方が多いことも魅力的でした。学生同士の延長線のような環境よりも、経験豊富な社会人の中に飛び込んで学びたいという気持ちがあったんです。

そうした理由もあって、就職活動を始めた頃から第一志望はずっとエムスリーでした。

最終的に「エムスリーしかない」と思った決め手は何だったんでしょうか?

やっぱり価値観が合いそうだ、という感覚はずっとありました。よく「なんでうちに来たの?」と聞かれるんですが、正直なところ明確な一つの理由があったわけではなくて、一緒に働く人たちや会社の雰囲気に自然と惹かれていたんだと思います。

自分は割とペラペラ喋ったり雑談したりするタイプなんですが、そういうくだけた言動も受け入れてもらえそうだなという感覚がありました。実際に面接でも変に取り繕う必要がなくて、自然体で話せた記憶があります。

面接は本当に楽しかったですし、不愉快な思いをしたことも一度もありませんでした。会社そのものというより、一緒に働く人たちに対して安心感を持てたことが大きかったのかもしれません。

入社が決まったときは、人生の中でもかなり大きな出来事の一つでしたね。

上場企業らしくないスピード感と、圧倒的な先輩たち

実際に入社してみて、ギャップはありましたか?

業務内容や会社の雰囲気は、だいたい想定していた通りでした。ただ、思っていた以上に少人数で開発が進んでいくことには驚きました。

上場企業というと、もっと組織的で意思決定にも時間がかかるイメージがあったんですが、実際はベンチャー企業のようなスピード感でプロダクトが進んでいきます。

一人ひとりが担う範囲も広く、新卒だからといって手厚く守られるような環境ではありません。その分、自分で考えて判断することが求められますし、良い意味で想像以上に裁量が大きいと感じました。

入社後、特に印象に残っていることはありますか?

やはり一緒に働く先輩方のレベルの高さですね。

技術力が高いのはもちろんなんですが、それ以上に日々の学習姿勢や仕事への向き合い方に圧倒されました。わからないことがあればすぐに調べる。使っている技術を曖昧なままにしない。そうした積み重ねを当たり前のように続けている人が多かったんです。

当時は、「この人たちに追いつくにはどうしたらいいんだろう」と考えることがよくありました。今でも追いつけたとは思っていませんが、先輩たちの姿勢を真似しながら、一つひとつ積み上げていくことを意識するようになりました。

新卒1年目で苦労したことは何でしたか?

今振り返ると、一番苦労したのは技術そのものよりも仕事の進め方だったと思います。学生時代は自分一人で開発を進めたり、業務委託先で実装したりすることが多かったので、自分の判断で進められる場面がほとんどでした。

一方で、エムスリーは事業規模が大きいので、スピード感は持ちつつ関係者と議論しながら丁寧に進めていく必要があります。自分の考えを相手に伝えること、意見が違う人と合意形成すること、チームとして意思決定すること。そういった経験は学生時代にはあまりありませんでした。

特に、レベルの高い先輩方と仕事をする中で、自分の考えを言語化して説明したり、相手を納得させたりする難しさを感じることも多かったですね。

最初は悩むこともありましたが、その経験を通じて、技術だけではなくコミュニケーションや伝え方の重要性を学びました。今振り返ると、その頃に身につけた力が、ドメイン知識を扱う現在の仕事にもつながっていると思います。

最初に配属された電子カルテ開発チームでは、どんな経験をされましたか?

医療現場で実際に使われているシステムを作れるのは、非常に良い経験でしたし、自分がやりたかったことでもありました。エムスリーのエンジニアは、willベースで配属が決まることもあり、電子カルテ開発チームに手を上げました。

もともと自分は、開発だけでなく周辺知識を身につけることも好きなタイプなんです。医療制度に関わる仕事を続ける中で、システムだけでなく制度そのものを理解する面白さを感じるようになりました。

今は6年目になりますが、それなりに知識も身につき、良いチームで良い仕事ができていると感じています。

医療制度の専門性を意識し始めたのはいつ頃だったんですか

1年目の頃からですね。医療制度に関わる開発を続ける中で、この領域は単純にコードを書くだけでは解決できないことが多いと感じていました。制度を理解していないと正しい仕様も作れませんし、ユーザーの課題も見えてきません。

そうした経験を通じて、この領域を自分の専門分野にしたいと思うようになりました。

1年目でその領域を志向した理由は何だったんですか

一番大きかったのは、人が少なかったことです。当時、チームの中でも医療制度を深く理解して対応できる方は限られていました。

もともと自分は、技術だけでキャリアを作るつもりはあまりなくて、技術以外にも自分ならではの強みや専門性を持ちたいと思っていました。

自分には昔から、誰もやっていないことや担い手が少ない領域に価値を感じるところがあります。医療制度はまさにそういう領域で、専門性も高く、プロダクト開発にも直接活かせます。

だからこそ、1年目の頃からこの分野を自分の専門領域にしようと考えるようになりました。

具体的には、どのような専門性なんですか

医療現場では、患者さんが窓口で支払うのは医療費の一部で、残りは保険組合などへ請求されます。その請求に必要なレセプトの作成や点数計算は非常に複雑で、制度改定も頻繁に発生します。そのため、システムを作るだけではなく、制度そのものを理解している人が必要になります。

エンジニアリングだけでは解決できない領域で、医療制度とプロダクトの両方を理解している人材が求められるんです。

実際にその領域で働いてみて、どんな面白さがありますか

単純にコードを書くだけでは解決できないところですね。

制度を理解し、現場の業務を理解し、それをどうプロダクトに落とし込むかを考える必要があります。技術だけでなく、事業や業務の理解も求められるので難しさはありますが、その分面白さも大きいです。

また、少人数の領域だからこそ、自分の知識や判断がプロダクトに与える影響も大きくなります。そうした責任も含めて、自分には合っていると感じています。

AI時代に重要になった「文章を書く力」

AIの活用についてはどう感じていますか?

AIはかなり活用しています。もともと自分は文章を書くことやメモを取ることが好きで、学生時代から大量のテキストを書いてきました。そのスタイルがAIの発展と非常に相性が良かったと感じています。

エムスリーはリモートで働くメンバーも多く、ドキュメントを重視する文化があります。議論や意思決定の過程を文章として残すことが当たり前なので、AIを活用する場面も自然と増えています。

ただ、AIを使えば何でもできるとは思っていません。医療制度のような専門領域では、ドメイン知識をAIに渡して活用することもありますが、最終的には人間が内容を理解し、判断する必要があります。自分自身が理解していないことをAIに任せると、もっともらしい間違いを出してくることも少なくありません。また、人と会話して本当の課題を見つける議論を行うこともエキスパートとしての仕事だなと思います。

だからこそ、AI時代になっても専門知識を持つ人間の価値はなくならないと思っています。

AI時代にエンジニアに求められる力は変わると思いますか?

かなり変わると思います。以前は、コードを書いて動くものを作れること自体に価値がありました。しかし今は、実装そのもののハードルが急速に下がっています。

その中で重要になるのは、何を作るべきかを考え、要件や仕様を整理し、正しく伝える力だと思っています。実際、自分も最近はコードを書く能力そのものよりも、文章を書いて設計を組み立てる力の重要性を強く感じています。

AIを活用するためにも、まず人間側が課題やドメインを理解し、それを言語化できなければいけません。曖昧な考えを整理し、相手に伝わる形で文章に落とし込む力は、これまで以上に重要になっていくと思います。

「質は量から生まれる」が導いたキャリア

入社からこの5、6年で、最も成長したと感じる部分はどこですか?

言葉や文章で、自分の考えを相手に伝える能力はかなり上がったと思います。

結論から話すことや、複雑な内容を整理して簡潔に伝えること、文章を短く分かりやすくまとめることなどは、入社してから大きく成長した部分です。

一方で、技術的な知識についてはまだ道半ばだと思っています。個別の知識は増えましたが、それを一般化して語れるほどかと言われると自信はありませんし、自分の得意技術を一つ挙げろと言われても、まだ迷う部分があります。

その中で一番良かったと思うのは、1年目からドメインのエキスパートになると決めて進んできたことです。

もともと技術だけで生きていこうとは思っていなくて、自分なりの専門性を複数持ちたいという考えがありました。少人数しか担い手がいない領域だからこそ、自分の価値を発揮できる場所を作れたと思っていますし、ドメインを主戦場に働けるようになったことが一番大きな成長だと思っています。

今後はどのようなことに挑戦していきたいですか?

ドメインを主戦場にすることは、しばらく続けていきたいと思っています。

医療制度の知識が必要なシステムは、最初は電子カルテだけだったものが、今は新規開発も担当しており、他のプロダクトにも広がり始めています。横断的にドメイン知識が求められる場面が増えているので、その知見を組織として活かせる形も考えていきたいです。

一方で、技術への興味がなくなったわけではありません。最近は認証・認可やセキュリティの領域を個人的に勉強していて、技術書典やテックブログなどを通じてアウトプットも続けています。

自分の中では、ドメイン知識と技術のどちらかを選ぶという感覚はありません。専門性を一つに絞るのではなく、複数の柱を持ちながら価値を出していきたいと思っています。

どんな人がエムスリーに向いていると思いますか?

エンジニアとして、社会人と対等に話せる人は向いていると思います。

自分自身、学生時代からさまざまな社会人とコミュニケーションを取りながら、仕様を考えたり実装したりする経験をしてきました。エムスリーでも、エンジニアだからといって開発だけをしていればいいわけではなく、事業側や現場のメンバーと議論しながら物事を進める場面が多くあります。

そのため、自分の考えを相手に伝えたり、相手の立場を理解しながらコミュニケーションを取ったりすることが苦にならない人は、活躍しやすい環境だと思います。

逆に、受け身な志向が強すぎる人はあまり合わないかもしれません。

もちろん仕事を割り振ってもらって解決する力は重要ですが、会社としては新卒エンジニアにも利益を生み出し、事業を成長させることを求めているなと思います。そのため、タスクそのものに執着することよりも、プロダクトや事業にどのような価値を生み出せるかを考えられる人の方がフィットしやすいと思います。

会社選びで大切なことは何だと思いますか?

新卒で入った会社の先輩たちのレベル感や雰囲気には、良くも悪くも、その後の人生で大きく影響されると思っています。だからこそ、実際に話してみて楽しいと思えた会社を選ぶのがいいと思います。会社全体のイメージだけではなく、どんなチームで、どんな人たちと働くのかを知れば知るほど、自分に合った選択ができるはずです。

自分自身も、エムスリーを選んだ理由を聞かれると、最終的には一緒に働く人たちとの相性や雰囲気が大きかったと思っています。

学生時代にやっておいて良かったことはありますか?

「これだけは経験しておいた方がいい」と思うことを挙げるなら、自分でプロダクトを作って、ユーザーをつけて、お金を1円でも稼ぐという経験です。もちろん収益化までいかなくても構いません。知らない人に使ってもらい、フィードバックをもらう経験は、エンジニアとして非常に大きな学びになると思います。

学生のうちは自由に使える時間も多いので、ぜひ何か一つでも、自分で作ったものを世の中に出してみてほしいですね。

これから入社する新卒エンジニアへ、メッセージをお願いします。

最後に、自分は「質は量から生まれる」という考え方をずっと信じています。

評価されるためには、とにかく手数を打つことが大事だと思っています。技術書典への参加やテックブログの執筆、社内LTでの発信など、数多くのアウトプットを続けてきました。2021年に書いた「マークダウンパーサーを作ろう」という記事は、多くのエンジニアに読まれ、大きな反響をいただきました。

最初から質の高いアウトプットを目指すよりも、まずは量を積み重ねる。その積み重ねの先に質が生まれるのだと思っています。技術だけではなく、自分なりの専門性や別の柱も持ちながら成長していきたい。そんな人と一緒に働けたら嬉しいですね。

あなたの力とアイディアで
医療の未来を切り拓いてみませんか。